アイスランドってどんな国?

アイスランドは「火と氷の島」と云われ、その名の通りその多くが今尚活動中の200を超す火山と国土の12%を占める氷河、多くのフィヨルドに代表される自然の驚異に満ち溢れる、最北端が北極圏の真下に位置する島だ。サガ書ランドナゥマ(Landnáma=移住の書)によれば、フラブナ・フロゥキ(通称ワタリガラスのフロゥキ)という名のヴァイキングが9世紀の中頃の春にこの島に航海し、海氷に満ち溢れたフィヨルドを見て、この地をアイスランドと名付けた。この寒々しいネーミングは初期のヴァイキングの船団が空に向かって高く聳える巨大な氷河が横たわる南西沿岸部の極近くまで接近した時にも既にそのように呼ばれていたと云う。しかし、これらの初期のヴァイキング達が海氷や氷河を見る前に、先ず真っ赤な火山の噴火が目に入ったとしたなら、この国の名前はフィアランド(火の国)と名付けられたかも知れない。eld-(fire=火), varm-(warm=暖かい), reyk-smoke=煙)から始まるアイスランドの地名が多い。このことは移住者達が活火山の噴火や間欠泉そして数多の温泉地熱地帯によほどの強烈な印象を受け、火と氷が相存在するこの新天地に驚愕を覚え、この国が「火と氷の国」だという想いがこの時から認識されたに違いない。

地理的には北大西洋のほぼ中央に位置し、ヨーロッパでは英国に次ぐ大きな島国でその面積は103,700㎢、北海道と四国を合わせた面積よりさらに1万平方キロも広い。アイスランドは、9世紀(874年)にノルウエーの圧政を逃れてきた北欧民族(いわゆるヴァイキング)が移住し、建国したのが国の興り。アイスランド人の先祖はヴァイキングということになるが、それ以前に(6〜7世紀にかけて)アイルランドの修道士が南部のキルキュバイヤルクロイストゥルに渡来した関係でケルト人の血も濃く流れている。当時のヴァイキング達は海の覇者として各地を征服したが、その後、その言語や文化がしっかりと根付いたのは、その孤立した地理的条件などの理由でアイスランドだけである。特筆すべきことは、10世紀の初めに世界で最初の民主議会アルシンキ(Alþing)を設立したこと。『ヴァイキングが作った世界最古のデモクラシー』として世界史上に残るアイスランド人の功績である。アイスランド・ヴァイキングは982年に赤毛のエリークがグリーンランドを発見、また、1000年にはエリークの息子のレイブル・エイリークソンが北米大陸を発見するなどその活躍は目覚ましい。アメリカで最初に産まれたヨーロッパ人がアイスランド人であることは歴史上の隠れた秘話である。  

 11世紀の中頃からアイスランドは数世紀に渡って外国の統治下に置かれ、国民は異国による貿易独占に加えて、飢餓、疫病(ペストの蔓延)、火山の噴火など様々な辛苦を味わうことになる。しかし、こうした暗黒の時代にすらアイスランド文化史上最大の功績と世界中から称えられている大長編の中世歴史物語『サガ=SAGA』(日本の古事記に相当する)や往時の英雄を称えるロマンチックな伝説『エッダ』などの古典文学を完成させている。これらの古典文学に使用された言語は、当時スカンジナヴィア諸国で汎用されていた北ゲルマン語(古ノルド語)派に属する言葉だった。しかし、記述されたのがアイスランドであったことや前述した地理的条件などにより、往時とほとんど変りなく現存するのはアイスランド語のみとなっている。アイスランド人はヨーロッパで最古の言語を国語としているのだ。

地質的には、大西洋中央海嶺の延長上にあり、16−20百万年前に北大西洋の海底火山噴火によって誕生した、ヨーロッパでは最も若い国。北米大陸とユーラシア大陸二つのプレートが創り出しているギャゥは中央大西洋海嶺の軸の上に、活発な火山活動と広く符合しながら1年に東西夫々に1〜1.5cm、合計2〜3cm成長し続け、アイスランドの国土を広げ続けている、まさに活きている島といえる。

アイスランドには、歴史や地質に加えてその頑なまでに守り続けてきた伝統・文化の面でも興味を引かれるものが多い.しかし、それにも増してアイスランドを魅力たらしめるのは、最北の国の不思議な美しさ、見渡す限りの地平線,地熱温泉暖房システム利用による全く汚染されていない空気と澄み切った青い空、無数の野生植物と海鳥や野鳥、壮大な氷河や豪快に噴き上げる間欠泉の素晴らしさ、アイスランドの人々の優しい温かいもてなし、北極に近い高緯度に位置しながらメキシコ暖流の恩恵を受けたマイルドな気候、夏の24時間のデイライトと冬至の20時間に達する夜のコントラスト、白夜とオーロラ等........。  

広大な国土を持ちながら、国全体の人口はヨーロッパの中ぐらいの都市よりも少なく、それでいて国民一人当たりの収入が世界のトップクラス、特に首都レイキャヴィークの美しい街並と生活水準の高さ,そして治安の良さが際立つ極北のパラダイスだ。 

 


Revised:04/05/06