アイスランドの氷河

アイスランドを最もイメージさせるものの代表のひとつが氷河だ。合計の氷河面積は実に約11,922平方km、全国土の11.5%を占めている。大きな氷河は南部と中央高地にあるが、その主な理由は北部より南部が降水量が遥かに多いからだ。この島にヴァイキングの定住が開始された頃には氷河は小さいものだった。中世の後半に気温が低下し始めて氷河は目だってどんどん大きくなった。この現象は19世紀の終わりごろまで続いた。その後、氷河は1988年ごろまでは後退し、衰退し始め、爾後同じような状態が続いている。その結果、ここ20〜30年は、地球の温暖化の影響もあって氷河は薄く、衰退化する傾向にある。小さいものの中には全く消滅したものさえある。ヨーロッパ最大の氷河ヴァトナヨークトル氷河(Vatnajökull)を例にすれば、1958年の計測では8,538平方km、その後8,400平方kmと修正されいた面積が最近のアイスランド国立国土地理研究所のデータは8,300平方`に更に面積が小さくなってきている(下記の表参照)。

 氷河の海抜は最低地が北西部で約750m,最高地は内陸部のヴァトナヨークトルの北の部分となり、その海抜は約1,500mである。

氷河は大きく、氷冠(大陸の広い範囲を被う氷河で南極やグリーンランドに多く見られる)、氷帽(山頂部を被う小さめの氷河)そして谷氷河(両壁がある圏谷状の氷河)の3つに区分される。

アイスランドでは、小さいカール(圏谷)状の氷河からグリーンランドの内陸部を彷彿させる広大な氷河まで殆どすべての形態の氷河が見られ、後者の氷河は広大な突出した流出口が高山型の渓谷氷河の近傍に流れ出ている。

アイスランド南東部にあるヴァトナヨークトルはヨーロッパ最大の氷河で、その面積はヨーロッパ大陸の全氷河を一堂に集めたものより広く、全面積は8,300平方km。氷河の厚さは1,000mにも達する。南側の流出口のひとつであるブレイダメルクウルヨークトル氷河の舌端は海抜地点まで達している。

1996年10月から11月にかけて起きた,ヴァトナヨークトル氷河の中にあるグリームスヴォトン火山(Grímsvötn)の氷河底噴火は世界中を震撼させた。氷河噴火は大量の氷を融かし、その結果,氷の湖が氷河の下に出現する。水は氷より重いため湖岸は決壊し易い。この噴火でヴァトナヨークトルの一部が融け始め,その水が氷河の下を通って,やがて,氷河の下の湖に流れ込んだ。全水量は,東京ドームの3200倍だったと云われている。水圧に耐えきれずに,ついには湖の壁が崩壊,流れ出した水は氷河のトンネルを抜け出すと奔流となって大洪水を引き起こした。ギーギャ河に架かる橋は跡形もなく消え,スケイザルアゥルサンドゥル(Skeiðarársandur)砂原を流れるスケイザルアゥ川に架かるアイスランドで最も長い橋も200mに亘って崩壊した。
 その他の代表的な氷河は、中央内陸地帯にあるラングヨークトル氷河(95 3平方`でヴァトナヨークトルに次いでヨーロッパで2番目に大きい)とホフスヨークトル氷河(925平方`),南部のミールダルスヨークトル氷河(600平方`),北西部のドランガヨークトル氷河(160平方`)が挙げられる。

 レイキャヴィークから湾を横切った位置にあるスナイフェルスネース半島の先端部分には、スナイフェルスヨークトル氷河があって、晴れていれば日没のファンタスティックな光景がレイキャヴィーク市内からも楽しめる。

以下、氷河を面積の広さ順にご紹介する。

 

氷河名

面積(平方km)

現在 1958年
Vatnajökull ヴァトナヨークトル (DE3)

8,300

8,538

Langjökull ラングヨークトル (C3) 953 1,022
Hofsjökull ホフスヨークトル (C3) 925 966
Mýrdalsjökull ミールダルスヨークトル (C4)
596
701
Drangajökull ドランガヨークトル (B1)
160
200
Eyjafjallajökull エイヤフィヤットラヨークトル 78 107
Tungnafellsjökull トゥングナフェットルスヨークトル (D2)
48
50
Þórisjökull ソゥリスヨークトル (   ) 32 33
Eiríksjökull エイリークスヨークトル (C3) 22  
Þrándarjökull スラゥンダルヨークル 22 27
Tindafjallajökull ティンダフィヤットラヨークトル 19 27
Torfajökull トルファヨークトル 15  
Snæfellsjökull スナイフェルスヨークトル (A3) 11  

 

ヴァトナヨークトル氷

「湖の氷河」を意味するヨーロッパ最大の氷河でその面積は8,300㎢、ヨーロッパ大陸の全氷河を一堂に集めたものより広い。その中心部に極めて活発な火山活動地帯があって氷河底湖があることからこの名が付けられた。氷河の厚さは最も深いところでおよそ1100m、平均でも400mである。氷の総量はほぼ3,300立方kmという厖大なもの。600m

1000m深部の氷河底はなだらかな起伏の多い台地のような景観となっている。山峡や渓谷も見られる。氷冠は海抜1400m1800m間に聳える。消耗海抜は若干異なり、南部で1100m、西部で1200mそして北部で1300mだ。氷河には様々のサイズの突き出た舌部があって下方に向かって流れ落ちている。南側の流出口のひとつであるブレイダメルクウルヨークトル氷河の舌端は海抜地点まで続いている。ヴァトナヨークトル氷河についての調査は1934年に始められているが、あらゆるアングルからなされていてこれ程徹底的に調査されている例は他の氷河では見られない。

199610月から11月にかけて起きた,ヴァトナヨークトル氷河の氷河底にあるグリームスヴォトン火山(Grímsvötn)の氷河底噴火は世界中を震撼させた。氷河噴火は大量の氷を融かし、その結果,氷の湖が氷河の下に出現する。水は氷より重いため湖岸は決壊し易い。この噴火でヴァトナヨークトルの一部が融け始め,その水が氷河の下を通って,やがて,氷河の下の湖に流れ込んだ。全水量は,東京ドームの3200倍だったと云われている。水圧に耐えきれずに,ついには湖の壁が崩壊,流れ出した水は氷河のトンネルを抜け出すと奔流となって大洪水を引き起こした。ギーギャ河に架かる橋は跡形もなく消え,スケイザルアゥルサンドゥル(Skeiðarársandur)砂原を流れるスケイザルアゥ川に架かるアイスランドで最も長い橋も200mに亘って崩壊したほどで、氷河底の噴火によリもたらされた大洪水で道路や橋が破壊されたことは未だ記憶に新しいところ。氷河湖の洪水で橋や道路が寸断し、大きな影響を受ける例は小さいものまで含めればアイスランドではそう珍しいことではない。アイスランド最長の橋が破壊されたものの過去幾度もこうした被害に遭っている国ならではの知恵が、破壊後僅か3週間には暫定的ではあるが修復され、速やかに通行を可能にしたのだ。グリームスヴォトンはその後199812月と200411月にも大きな規模で噴火しているが、(2011年の5月にも噴火し、ヨーロッパの一部の空港を閉鎖する事態を出来させている。

ラングヨークトル氷河

長い氷河を意味するラングヨークトルの面積はヴァトナヨークトルに序でヨーロッパでは2番目に広い953㎢。氷河のほとんどが海抜1200〜1300mの高さにあり、南部と北部が最も高く聳えている。氷河学協会が海抜1228m地点にあるフィヤットルキルキャンの麓にハットを構えて氷河の調査をしているがヴァトナヨークトルほど解明されていない。突き出した舌部氷河も多く、下方の地帯に向かって流れ落ちているが、ゲイトランドスヨークトルGeitlandsjökullを始めそのすべてには名称が付けられている。ラングヨークトルの周辺には北西にエイリクスヨークトル氷河Eiríksjökull、南にソゥリスヨークトルÞórisjokullそして東にフルータフェットルHrútafellの3つの小さな氷河が横たわっている。

ラングヨークトル氷河の左縁にある、ノルズゥルヨークトルとスーズゥルヨークトルの二つの支氷河が融けてできたのがクヴィートアゥヴァトン氷河湖Hvítárvatn。広さは26.6平方km、最深部84m。湖に浮かんでいる氷魂を縫ってのボート観光(約40分)を楽しめる。

ホフスヨークトル氷河

「聖堂の氷河」を意味するホフスヨークトルはその上空から見るとほぼ円形に近い氷冠の形が特徴的、ほぼアイスランドの中心部に位置している。その面積は925㎢で3番目の大きさ。氷河下は中央火山地帯の山塊で広大な氷がカルデラを埋め尽くしている。海抜1143mのアルトナールフェットル山が氷河の南東部分に包み困れるようにに聳えているが、天気がいいときのこの山の頂からの眺望は抜群だ。氷河はどっちかというと険しい勾配、クレヴァスもあるので氷河を歩くときは要注意。氷河の突き出た舌部も多く、その一部はショゥルアゥとブランダのふたつの川に流れ落ちている。氷河からは大量の水が地表に流出しており、電力生産に大いに貢献している。

ミールダルスヨークトル氷河

「湿地の谷の氷河」を意味するミールダルスヨークトル氷河の面積は596㎢、その最高点は1480m。アイスランドでは4番目に大きい氷河だ。1918年に大噴火した非常に火山活動が活発な中央山塊の上に横たわっている。その火山は氷河底火山カットラ(Katla)でカルデラの直径はおよそ10kmと推測されている。噴火はカルデラの内外部の多くの場所でおき、大きな氷河の破裂爆発となることがしばしば。その際、突き出た舌部を下方に流れ落ち、大量の水を放流する。

ソゥルヘイマヨークトル氷河(Sólheimajökull)

ミールダルスヨークトル氷河(Mýrdalsjökull)の南西の流出口から突き出した鼻のように横たわる、小さな細長い舌氷河でその長さは約8km、幅は1〜2km。氷河川ヨークルスアゥに流出しているがこの川はしばし酷い悪臭を放つ川と呼ばれるが高熱地帯となっている氷河の舌端部付近から放出される亜硫酸ガスの所為。

氷河はここ数世紀の間におよそ900mも前進していたが、1930年〜1964年にかけては一旦大きく後退をしている。その後の90年代においてはまた前進し、現在ではヨークルスハウス丘陵を被う程になっている。氷河は渓谷状になっていて渓谷の両壁の間にはいくつかの潟湖があるがそのうちのひとつは全く突然のように水を喪い空っぽになることがある。

ドランガヨークトル氷河

アイスランドでは最北にある氷河で、西部フィヨルド地帯唯一の氷河である。20世紀を通じて後退し続けたため、面積の縮小が進んでいる氷河の典型と云える。ふたつの舌氷河を抱え、その一つはヴァトナヨークトルの舌氷河のように海近くまで広がっている。この氷河の最高地点はヨークルブンガ(Jökulbunga)という高まりの頂でその標高は925m。これに似た丸みを呈した高まり、フリョゥザブンガ(Hljóðabunnga、標高825m)とフロトルエイフブンガ(Hrolleifbunga、標高851m)が際立って目立つ。現在は廃墟化したホットンストランディル地区に人が住んでいて、ストランディル地区がもっと人口密度が高かった頃、氷河を縦横するルートがいくつかあって人々は頻繁にここを通っていた。現在ではその一部が絶好のハイキング・ルートになっている。

 

エイヤフィヤットラヨークトル氷河

「諸島の氷河山」の意味を持つ海抜1,666mの氷河火山でアイスランドでは8番目の標高。南沿岸部の沖合に浮かぶ群島ヴェストマンナヤイルが一望できることからこの名前が付けられた。山塊は数千年間も続いた噴火の結果であることがはっきりと見て取れ、氷河期中期から完新世にかけて頻発した噴火によって出現したもの。氷河はほぼ100kuの地域に広がっている。34km幅の大きなクレーターを持っていることからアイスランド有史以降において何度かの噴火を繰り返していたものと考えられている。1612年と1821年〜22年に起きた2回の噴火だけは記録に残されていて、この2回の噴火の際にはエイヤフィヨットル山とフリョゥトスフリズ斜面の間の低地帯に溶けた氷河の氷が大量に流失、大洪水をもたらし、結果として大量の降灰と共に膨大な損害をもたらした。19世紀の終わりごろには地震活動が頻発し、地割れから洩れ噴き出るガスがはっきりと観測されたと記録されている。頂上の氷冠の面積はアイスランドで5番目の広さ。北側の斜面の麓に向かって急勾配で流れ落ちるギーグヨークトル(Gigjökull)とステインスホルトスヨークトル(Steinsholtsjökull)の二つの舌氷河を持っているが両方共に氷河の先端部には潟湖があり、氷河から崩落した流氷が浮かんでいる。

エイヤフィヤトラヨークトル氷河火山噴火(2010年)について

最初に噴火した正確な地点はエイヤフィヤットラヨークトルとミールダルスヨークトルの両氷河の間にある 、「5つのケルンがある峰々」意味する山稜(環状山)フィムヴォルズハゥルス@ アイスランド時間(GMT)321日(土)2330分に発生した。ここはかつては氷に覆われていたが現在では夏場には4WD通行できる山岳路。噴火後新たに二つのクレーターが出現している。

4月10日過ぎにはこの最初の噴火はほぼ治まりかけていたが、4月14日になってフィムヴォルズハゥルスの西側に隣接するエイヤフィヤットラヨークトル の舌氷河ギーグヨークトルから新たな噴火が始まった。 氷河底の噴火のゆえに大量の火山灰と氷河の一部の溶解で火山泥流を発生させた。これがその後の空港閉鎖などの問題を惹起させ、ヨーロッパから/への航空機の運航に甚大なる影響を与える一方で、国内的には氷河川マルカルフリョゥトに大洪水をもたらし、橋梁や道路が大きな損害を受け ることになった。国道1号線の道路と河に架かる橋の通行に支障を来たした。しかしながら、幸いなことに、5月に入って橋梁や道路は修理、修復され、一般通行が可能になって 、アイスランドを周遊する環状1号線を走る長距離バスなどは完全に正常化された。

噴火源はエイヤフィヤットラヨークトル氷河。火山活動は、隣のミールダルスヨークトル 氷河の地下火山カットラと密接に関連しながら活動することで知られている。カットラ火山は、世紀ごとに平均して2回の噴火を繰り返す活火山。アイスランドに移住が始まって以来、カットラの噴火はほぼ20回を数える。最後の噴火は191810月で58年振りのもので、南部の沿岸は火山泥流が起こした大洪水による堆積物が沖合に5kmも拡がり、大きな被害をもたらしたことで世界の地質学者が注目していたが、幸いにもカットラ火山への影響はなく終息した。

 

スナイフェルスヨークトル氷河

”雪を被る山の氷河”を意味するスナイフェルスヨークトル氷河は西部のスナイフェルネース半島にあり、晴れ渡った日には、遥か120km離れたレイキャヴィークからでも氷河の全姿がくっきり見える。標高は1446m、面積は11㎢。氷河は円錐形火山を覆っていて、 現在は休眠状態で活動を休んでいる が歴とした活火山。 約1800年前の最後の噴火とその およそ80万年前から 続いた数多の噴火活動で写真のような華麗な氷河火山が形成された。最後の噴火となった1800年前のものは規模も大きく、明灰色の火山灰はスナイフェルネース半島のほぼ北半分を覆い尽くし、ブレイザフィヨルズゥル湾の対岸の西部フィヨルド地帯にも大量に降り注いだ。スナイフェルスヨークトル氷河の南側の麓に横たわるハゥアフロイン溶岩原はこのときの噴火が流出して形成されたもの。

山の傾斜地や周辺には遠く完新世からの溶岩原が幾つか横たわっている。溶岩原には海まで走っているものがあり、烈しく打ち寄せる波からスナイフェルスネース半島の西部を保護している。頂上のクレーターは深さが200mで氷で埋め尽くされ、底に近い側面は氷で覆われたクリフとなっている。

スイフェルスヨークトル氷河は現代SFの父と称えられるジュール・ヴェルールJules Verneの空想科学小説「地底旅行、The Journey to the Centre of the Earth, Voyage au Centre de la Terre」で有名な山。ドイツの鉱物学の世界的権威リデンブロック教授が16世紀のアイスランドの錬金術師がルーン文字で書き残した謎の古文書を偶然見つける。「アイスランドのスナイネルスネス半島の死火山の噴火口から地球の中心まで通じる道がある」と解読し、甥とアイスランドの猟師ハンスを伴い地底に向かって大冒険旅行に旅立つ。この死火山がスナイフェルスヨークトル。この小説が書かれたのは1865年のこと。

トゥングナフェットルスヨークトル氷河

”舌状の山の氷河”を意味するトゥングナフェットルスヨークトルはヴァトナヨークトルとホフスヨークトルのふたつの氷河の間にある小氷河。氷河の北の中央山塊の北の傾斜地には、標高1392mの凸状の険しい山トゥングナフェットルにあるが氷河の名前はこの山に由来して付けられた。氷河は長さが約10km、幅は5〜6kmで全体の面積は48㎢。氷河の最高地は西の端から突き出しているハヒルナで1520m。

エイリークスヨークトル 氷河

ドーム型をした美形の氷河でラングヨークトル氷河の北西に位置し、国内最大の卓状山地のひとつに横たわっている。赤土の凝灰岩の山で標高は1675m、アイスランドでは3番目に高い。氷河そのものの面積は22㎢。その基礎部分にあたる地盤の面積は40㎢に及んでいる。氷河期の後期に創造されたもので、この間ずっと噴火が氷を溶かしきるに十分なほど長い期間続いた痕跡がこの基礎地盤には残っている。幾つかの氷河がくちばしのように北東に向かって斜面を降下している。この氷帽は溶岩原ハトルムンダルフロインの真南に位置し、ラングヨークトル氷河の西に延びている。このふたつの氷河の間にはフローサスカルズ峠(Flosaskarð)が走っている。

ソゥリスヨークトル氷河

ラングヨークトルの西に続く小氷河。その最高地点は1350mで、氷河は凝灰岩の山を覆っている。かつてはラングヨークトル氷河の一部であったが、グレッティルのサガで知られるソゥリスダールル渓谷によって分断されている。

ティンダフィヤットラヨークトル氷河

「大釘の山の氷河」を意味するこの氷河は面積が僅か19㎢と小さい。ミールダルスヨークトル氷河の直ぐ北西に位置している。尖った峰が連なっていることからこの名前が付けられた。その最高峰はイーミルで標高は1462m。東部の氷に覆われた一帯の下部は流紋岩が主体で北東部分の下部には広大な火口シンズリが横たわっている。何本かの川がこの氷河から流れ出ていて、そのほとんどが東ラングアゥ河とマルカルフリョゥト河に注いでいる。

トルファヨークトル氷河

「芝土の氷河」を意味するトルファヨークトル氷河は標高1190m、総面積が15㎢と狭い。ミールダルスヨークトル氷河の直ぐ真北にある。比較的高い山々に囲まれているので見え隠れしている状況で特に北の方からはほとんどその姿を確認することができない。数多の大小の川に流れ出て、その支流は南東に向かってマルカルフリョゥト河とホゥルムスアゥ川に流れ込んでいる。トルファヨークトル氷河の全域はアイスランドでも最も色彩豊かで美しく野性味あふれる流紋岩の一帯だ。この周辺には広大な高温地熱地帯もある。溶岩原はすべて黒曜石だ。溶岩原は全部で11ある。奈落の底に繋がるような広大なカルデラも。これらは氷河期の冷たい時期に創造されたもの。

これらの溶岩原は恐らく完新世に起きた4つの噴火で誕生したものだが、中にはヴァイキングの定住時前後に創造されたものも見られる。琉気孔のあるカルデラには煮え立つ泥溜まりや温泉が活動しているがその広さはおよそ100㎢に及ぶ。ここから更に遠くには顕著な活動を続けている火山や火山活動に絡む現象を呈している地帯があり、その代表的な存在がヘックラ火山、有史最大の溶岩の割れ目地帯エルドギャゥ、1万年前の火山地帯にある湖群ヴェイズヴォトン、ミールダルスヨークトル氷河の氷河底火山カットラそしてエイヤフィヤットラヨークトル氷河と云える。

スラゥンダルヨークル氷河

東部フィヨルド地帯、メルラッカネスMelrakkanesとブーランドスネスBúlandsnesのふたつの半島に挟まれたフィヨルド、ハマルスフィヨルズゥルHamarsfjörðurの奥部にある標高1248mの氷河で面積は22㎢。カバの茂み地帯に延びる細長いハマルスダルール渓谷の端っこに位置している。

 

アイスランドの氷河は当初の予想より早く溶解が進んでいる!

2007年の調査によればアイスランドの氷河はたった一つ例外を除いては後退し続け、面積がますます縮小化している。中には100m近くも後退しているものも見られれる。この報告はアイスランド国家エネルギー局によってなされたもので、氷河近くにある、全国47箇所の研究観測基地で実施された調査に基づくもの。氷河は異常なほどのハイテンポで後退していることがはっきりした。

1930年代と1940年台も異常に気温が高かったが、その時と比べてもここ10年間の氷河の衰退は速いテンポで進んでいる。国家エネルギー局に所属する地質学者はこんなに後退が進む氷河を目の当たりにするのは初めてのことだと驚きを隠さない。

氷河が毎年後退したり、拡大してより大きくなったり、急に動いたりするのは極自然に起こる現象だがそれも大概は次第に元に戻るものだが、近頃では、1550年以前は氷河で覆われたところが元に戻ることがなくそのまま地面が現れたままになっている。

 


Revised:12/03/07