南アイスランド1map

●南アイスランド②
 南部アイスランドの東のエリアはその内陸部にはヘックラなどの活火山や有史最大の玄武岩質溶岩流噴火により創造された荒涼とした溶岩原そして活発な地熱地帯に代表される世界、そしてユニークな大小の滝が見られる沿岸部はアイスランドでは珍しくフィヨルドではなくブラックサンドの砂地が広がり、パフィンなど海鳥の一大生息地だ。








ランドマンナロイガル Landmannalaugar

内陸部に入ったフィヤットラバク自然保護区にあり、まさに活発に活動している地熱地帯。含有する鉱物により黄金色、緑そして深紅など色鮮やかな山並みに囲まれたオアシス。多くの温泉と冷たい湧き水が混じりあって温かい温泉川をなしている。丁度良い湯加減の温度であるため、露天風呂も楽しめる。温泉川の土手は湿地状態で水面の上昇を抑える緩衝緑地帯となってここへの踏み込みは禁止されていて、温泉を楽しむ時には板道を通ってプールに入る事。また、温泉川(プール)での石鹸の使用は禁止されているので注意。海抜が600mを超えているものの、川の土手は草花で覆われている(夏季)。トレッキングにも最適。

ランドマンナロイガルはカラフルな流紋岩の山々に囲まれキャンプ施設があって、アイスランド・ツーリングクラブが運営するハットがあり、スリーピングバッグ用の宿泊施設もある。キャンプ場の中にあり、トイレ、シャワー施設、温泉ポット、BBQ用クッキング施設が整っている快適な山小屋、マウンテンハットはここの名物温泉川とは目と鼻の先。マウンテンハットのある側は高く急斜面のロイガフロイン溶岩原。溶岩面はギザギザとして鋭いが、迷路のように入り組んだ小道になって散歩道になっているので時間の余裕があればハイキングを兼ねて歩いてみたい。
遠くから見ると溶岩は黒く見えるが近づいて見ればその幾つかは鮮やかな濃いブルーカラーを呈している。これは天然のガラスとも云われる黒曜石。溶岩に大きな割れ目を見かけるが雨で濡れているときなどはかなり危険。
溶岩原からは熱い温泉が流れていて、冷たい川水と混じってちょうどいい湯加減の温泉川となっている。天然の温泉川として近年すっかり知られる存在となっているので水着着用で是非トライを。ランドマンナロイガルは人の土地の温泉を意味する。(写真提供:東京都在住、岩井早矢香さん2005年7月撮影)
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エルドギャゥ Eldgjá

「火の山峡」を意味する、息をのむような光景に出会える長い噴火による割れ目(亀裂)。断層のすぐ南に位置する標高812mの凝灰岩の山ヘルズブレイズ(Herðbreið)からエルドギャゥの眺望は絶景。割れ目ギャゥの主要部分は北の一帯で、中心部は道を挟んで反対側の一帯となる。エルドギャゥは935年に噴火が始まり3-8年続いた噴火割れ目で、19.6立方キロもの大量の溶岩を流出させた。有史以来世界最大の玄武岩質溶岩流噴火である。噴火により219Mtもの二酸化硫黄を大気中に放出させたと推測されている。
割れ目はミールダルスヨークトル氷河(Mýrdalsjökull)からギャゥティンドゥル山(Gjátindur)まで、南西と北東の方向に30kmも続いている。北の端附近は幅600m、深さ200mもあり最も印象に残るギャゥとなっており、その変化に富んだ光景は畏怖心を起こさせるほど。割れ目は多くの箇所で分断され、ところどころで途切れているがそのいろんな箇所で溶岩や火山物質を産出してきた。ヘルズブレイズ山とミールダルスヨークトル氷河の中間点に当る最も南寄り一帯の溶岩はアイスランドへの定住が始まったころ(870年頃)のもの。また、北部と中央部のものは700年ごろの噴火によるものでスカ二タアゥ渓谷に大量の溶岩を流し込んだ。割れ目の幾つかはミールダルスヨークトル氷河の氷冠や1783~84年に噴火したラーキの溶岩流によって蔽い隠されている。
エルドギャゥには北オゥファイラ(Nyrðri-Ófæra)と南オゥファイラ(Syðri-Ófæra)の二つの川が流れていて、北オゥファイラ川は二つの印象深い瀑布となって割れ目に流れ込んでいる。オゥファイルフォス(Ófærufoss)の滝は珍しい二重滝で下部の滝の上部に緩やかにカーブしているアーチ状の天然の橋が架かっており、この橋の部分は玄武岩で、溶岩縁から流れ落ちる川によって軟らかい岩が洗い流されてできたもの。
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ヘックラ火山 Hekla

レイキャヴィークから東へ120Kmの位置に聳える世界でも最も有名な火山のひとつ。標高1491メートル、その山稜の長さは約40㎞に達する。
地質学者によればヘックラは6千~7年前に誕生し活火山としての活動は今後ほぼ10万年は続くという。過去7千年の間にヘックラは5回の大割れ目噴火を起こしている。最大規模のものは4000年前と2800年前の噴火で、北部と北西部の土壌の中に往時の痕跡が残っている。特に2800年前の噴火では国土のほぼ80%が火山灰で覆い尽くされ、その量は約12立方㎞という膨大なものだった。その痕跡は遥か離れたスカンジナビア諸国の随所でも見つけられている。
ヘックラ火山の詳細はこちら
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セリャランスフォス Seljalandsfoss

スコゥガルから30km、セリャランスアゥ川から流れ落ちる、幅は細いが落差 65mの絵のように美しい滝。細い別れ滝がある小路が滝となって流れ落ちる崖の底部にあり、滝の裏側を歩くことができるが滑りやすいので注意が必要。 また水しぶきで滝の裏側を歩く際には帽子や防水の着衣も用意したい。この種の滝はここだけ。ここに至るにはリング・ロード沿いにある農場セリャランドから入る。 滝はリング・ロードからその壮観な全容を見ることができる。1967年1月にスコゥガル一帯を毎日101mmの豪雨が襲った。この付近にあるすべての河川は氾濫し、大洪水を随所にもたらした。洪水によって、滝のがけ部分の何箇所かが崩壊し、見栄えは以前ほどではなくなったといわれるがその美しさは今尚本格的だ。ここから少し西の位置には幾つかの滝があり、そのひとつがそれ自体の渓谷で部分的に隠されたグリューフラブーイ。
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スコゥガフォス Skógafoss

アイスランドでも最も印象に残る高さ60m滝。山岳地帯フィムヴォルズハゥルスに源を発するスコゥガアゥ川には20もの 小さな滝があるがその最下流にある滝。 スコゥガスフォスから川に沿って山のスロープを登ればこれらの小さな滝を比較的容易に見学することができる。
スコゥガル地域において最初に定住したヴァイキングはスラシ・ソロルブソン。彼は教養は備わっていたが古風な考えの男だった。彼は滝の裏側の洞窟に金貨をちりばめた胸飾りを隠したと伝えられている。天気のいいで日に、太陽がまぶしく輝いているとき、流れ落ちる滝の中に彼の金貨が光り輝いていると感じた。あまたの人々がこの金の胸飾りを見つけ出そうとしたが、ある若者がそれに成功した。彼は胸飾りのリングにロープを掛け、引っ張りあげたのだが、取り上げることができたのはリングだけであった。そして、そのリングは後になってスコゥガル教会のドアの一部に使用されたと伝えられている。スコゥガル民族博物館の誇る遺産のひとつだ。
標高1,665mで南アイスランドで最も高いエイヤヒャトラヨークトル氷河の頂上からは絶景の眺望が楽しめる。
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ディルホゥラエイ Dyrhólaey

英国のトロール漁船員によって「ブローホール(額の穴)」 と名付けられた、巨大な穴を持つ海に突き出た雄大かつ奇怪な断崖の岬。アイスランド語での意味は「扉の丘の島」だが実際には島ではない。砂浜にある部分の高さは120m。その沖合いには自然が創造したユニークな岩柱が浮かんでいる。海鳥の棲息地としても知られ、アイスランド本島の最南の地点。トゥインと呼ばれる穴の部分はボートが楽に通れるほど大きい。1963年、突然の海底噴火で誕生したスルトセイ島のように、間氷期に海底火山によって出現したものと考えられている。突き出た絶壁近くには幾つかの孤立岩が見られる。4月後半から8月下旬にかけては沿岸の険しいクリフには無数のパフィンやフルマカモメ、ウミガラス、オオハシ・ウミガラス、カツオドリ、アジサシ、ケワタガモなどの海鳥が生息している姿が観察できる。ここは自然保護区となっており、海鳥の繁殖期間が終わる6月25日までは立ち入ることが禁じられている。
ディルホゥラエイの西側の部分はハゥエイ(高い島)と名づけられ、凝灰岩から成っている。その東側の部分はラゥグエイ(低い島)と名づけられ、輝緑岩で成っている。昔は多くの漁船がディラホゥラエイから運航され、大抵の農夫が生活の糧を求めて漁に出ていた。最近では、農夫は岬にケワタガモの営巣地を手広く開発させダウン産業を発展させている。
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ヴィーク Vík

正式名称はヴィーク・イ・ミールダルで、最南に位置するアイスランドの中央南部沿岸部では唯一の村。農業のほか、港を持たないにも拘わらず小さな外輪船を利用した漁業が盛ん。かつてこの地はクリフによって陸地から分断されていたが、1660年のカットラ火山の噴火によって現在のような地形になった。周辺には自然美の光景が広がり、村の東のはずれにはヨーロッパ最大の北極アジサシの繁殖地がある。ヴィークの南側にはフラットな黒砂のビーチが広がっている。美しいビーチで、1991年、国際島嶼マガジン誌で世界の島嶼ビーチでベスト10のひとつとして紹介された。
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ミールダルスヨークトル氷河 Mýrdalsjökull

海抜1,493m、面積596平方キロメートルでアイスランドで4番目に大きな氷河。氷河の舌部は低地帯まで葡行しており、その中でも最も際立つのは、リング・ロードのすぐ側近くまで来ているソゥルヘイマヨークトルである。氷河の南東部の氷河底には1918年に最後の噴火をした活火山カトラが隠れている。氷河ではスノーモービルのレンタルができるほか、ハイキングも楽しめ、また、夏にはスキーリフトも運行される。

●ソゥルヘイマヨークトル氷河 Sólheimajökull

ミールダルスヨークトル氷河(Mýrdalsjökull)の南西の流出口から突き出した鼻のように横たわる、小さな細長い舌氷河でその長さは約8km、幅は1~2km。 リングロードから内陸に向かって走る222号線(ミールダルスヨークルスヴェーグル道路)に入って12kmで氷河の先端部に至る。氷河川ヨークルスアゥに流出しているがこの川はしばしば“酷い悪臭を放つ川”と呼ばれるが高熱地帯となっている氷河の舌端部付近から放出される亜硫酸ガスの所為だ。
氷河はここ数世紀の間におよそ900mも前進していたが、1930年~1964年にかけては一旦大きく後退をしている。その後の90年代においては前進し、ヨークルスハウス丘陵を被う程になっている。氷河は渓谷状になっていて渓谷の両壁の間にはいくつかの潟湖があるがそのうちのひとつは全く突然のように水を喪い空っぽになることがある。天気が良ければ氷河の中の散策もできるが、潟湖の洪水が何日か続いた後は危険。
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キルキュバイヤルクロイストゥル Kirkjubæjarklaustur

ヴィークから1号線を北東に71Km行ったところにある。1186年にアイルランド人司教が初めて住み着き、当時の修道院が今に残る歴史的に由緒ある美しい町 で昔は単に「教会農場」を意味するクロイストゥルKlausturと称され、重要な農地であった。シストラスターピ(シスターの岩)、シストラフォス(シスターの滝)、シストラヴァトン(シスターの湖)などの地名に修道院時代の名残りがある。
ミールダルスヨークトル氷河とヴァトナヨークトル氷河のちょうど真ん中に位置している。この辺りは1783年のラーキ山の噴火により、溶岩や氷河を溶かした土石流がスカフタアゥ川を伝わって流れ込み、当時のアイスランドの総人口5万人の四分の一もの人々が犠牲になった所でもある。現在は、大自然美が堪能できる一大リゾート地となっていて、通年オープンのホテルや夏季開業のファーム・ホリデイもある。キルキュゴゥルフ(教会の廊下)と呼ばれる玄武岩柱の集合体はきわめて珍しいもの。
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スカフタフェットル国立公園 Skaftafell

ヴァトナヨークトル氷河の南西地域に位置、1967年、アイスランドで初めて指定された3つの国立公園のひとつ。当初の面積は500平方kmでスタートしたが2004年にヴァトナヨークトル氷河の一部やラーキ山の地域が包含されて4807平方kmとかなりの広さの国立公園となった。更に、2008年6月にはヴァトナヨークトル氷河の全域、デティフォスやアゥスビルギに代表されるヨークルスアゥルグリュフル国立公園、ミーヴァトン湖一帯、アスキャ地区と併合されてヨーロッパ最大の国立公園、ヴァトナヨークトル国立公園の一部となった。
ここは又、ニャーゥルのサガに叙述されているが、古代の議会が開催された由緒ある地でもある。自然の織り成す傑作ともいえる一帯。高く聳える山々、堂々たる氷河、清流の小川が流れる峡谷、美しい滝、樺の森林、野花や植物の群生などにフィーチャーされる。国立公園内には道路は1本もない。しかし、山道網は整っているのでハイキング・トレールは多様だ。

■ヴァトナヨークトル国立公園の誕生でスカフタフェットル国立公園はその一部になっています。
2008年6月、アイスランドに15,000平方Kmに及ぶ広大な国立公園がオープンした。ヨーロッパ最大の氷河ヴァトナヨークトルを中心にするヴァトナヨークトル国立公園の誕生である。アイスランド最大であることはもちろん、ヨーロッパでも最大の国立公園だ。 この国立公園の制定は2006年に開かれたアイスランドの国会アルシンギによって決定されていたもので2008年の早い時期に開園されることになっていたもの。
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ラーカギーガル Lakagígar

火山礫凝灰岩質ラーキ山 (海抜818m)をほぼ中央にして南西から北東に走っている、長さ25kmにも達する雁行断層で、岩滓(がんし)丘、溶岩塔そして凝灰岩火山錐が連続して見事なほどに整然と平行して並ぶクレーター群。クレーターの数は約120個でその高さはほとんどが40mから70mである。1783~84年の噴火により誕生した。ラーキの噴火は1783年6月8日に始まったが、その前兆としての大きな地震が噴火前1週間に亘って続いた。ほぼ8ヶ月後の1784年2月に噴火は収まったが、ラーカギーガルはこの1783~84年の噴火により誕生した。噴火が始まった当初は溶岩の流出量は1秒当り5000立方メートルに達し、スカフ トアゥ渓谷を深さ200mも埋め尽くし、青みがかった粉塵が靄となって全土を覆い尽くした。 14.731立方㌔もの玄武岩質溶岩を噴出させ、565平方㌔メートルもの誇大な地域を蔽い尽し 、スカフトアゥレルダフロイン溶岩台地を誕生させた。935年のエルドギャゥに次いで世界で2番目の玄武岩質溶岩流噴火である。
ラーキの噴火はそれにより大気圏に及ぼした影響についても良く知られるところである。噴火の対流的噴煙によってガスは高度15000メートルまで達し、北半球の気温を低下させるエアロゾルをつくり出した。この冷却作用は火山が引き起こしたものとしては有史最大のものであった。アイスランドでは煙霧によってフッ素で汚染された草を食べた家畜の多くを失ない、酸性雨で収穫がほとんどできず、飢餓によって往時の住民の1/4に当る9000人が死亡した。火山灰は噴出した物質の中では僅か2.6%に過ぎなかったが、灰は遠くヨーロッパ本土にも降り注ぎ農業などに大きな影響を及ぼしている。
現在、ラーキ山は活動を中止しているが、クレーターの底の部分では尚、蒸気を噴き出させている。ラーキ山を訪れるには4WDが必要。夏の期間のみ、キルキュバイヤルクロイストゥルからツアーが催行されている。
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